|
2013年 01月 25日
『米政府、チンパンジー使った医療研究への出資打ち切り』
【AFP=時事】 米国立衛生研究所(US National Institutes of Health、NIH)は23日、 実験動物としてチンパンジーを使用した医学研究への出資を 打ち切る方針を発表した。 60日間の意見公募を行った後に最終的に決定されるという。 チンパンジーを用いた現在進行中の研究についても全て見直す計画だ。 出資打ち切りについてNIHは声明で 「医療研究におけるチンパンジーの使用は 極めて選択的かつ限定的な数ではあったが、 これまで人間の健康向上のために重要な役割を果たしてきた。 しかし、生物医学界で開発された新たな手法や技術によって、 いくつかの研究分野ではチンパンジーの使用に替わる方法が提供されている」 と述べている。 チンパンジーを使用した研究はすでにわずかとなっており、 2011年ではNIHが出資した研究9万4000件のうち53件のみだった。 ■先進国では米国だけ 霊長類の実験使用は、2010年に欧州連合(EU)が禁止し、 日本、オーストラリアなど他の先進国も後に続いた。 先進国のうち今も医学研究に霊長類を用いているのは米国だけとなっている。 今回の動きは、霊長類の実験使用に関する方針を見直しているNIHに 再評価を要請された米国医学研究所(Institute of Medicine、IOM)の勧告を、 NIHが受け入れたもの。 IOMは2011年の報告で、チンパンジーを使った動物実験の全面禁止こそ 求めなかったものの、人間を実験対象とした研究が倫理的に不可能で、 利用できる動物がチンパンジーしかいない場合など チンパンジー使用に制限を設けるよう勧告した。 一方で同報告書は、C型肝炎ワクチンの開発や比較ゲノム研究、 行動研究などの分野では依然としてチンパンジーを使用した実験が 必要な場合もあると指摘していた。 さらにIOMでは、チンパンジーを管理する際には自然の生息地か、 それに似せた生態環境で飼育すべきだとも勧告した。 ■チンパンジーにも快適環境を 今回の発表でNIHは、研究用チンパンジー50匹の常時確保を求めているが、 管理方法については群れでの飼育、通年で屋外に自由に出られること、 1匹当たり約90平方メートルの生息密度確保など、 快適な生息条件を具体的に定めている。 米国の研究所には2011年時点で937匹のチンパンジーがいる。 うち約450匹は政府関連の研究機関が所有しているが、 NIHは昨年9月の発表で、2013年に110匹を ルイジアナ(Louisiana)州の自然保護区に引退させる計画を明らかにした。 同保護区にはすでに引退したチンパンジー109匹が余生を送っている。 【翻訳編集】 AFPBB News
by mandilaut
| 2013-01-25 22:52
| オランウータン
|
ファン申請 |
||